以前は全国どこの地域でも、お葬式といえば近所の人たちが手伝いをしていました。近隣組織である隣組のようなものも発達していましたが、最近はその姿を見ることも少なくなってきています。奈良県でも、かつては10件程度の家が集まった組がありました。
お葬式はその組の人たちが中心になり、手伝っていましたが、最近は県内のほとんどが斎場で行うようになっているようです。また、葬儀の形式も変化していて、家族葬や式を行わずに火葬のみを行う直葬などの葬儀を行う人が増えています。
奈良県にある葬儀社でも、主に家族葬や直葬、1日で済ませる1日葬といった形態のお葬式に対応しているところがあります。家族葬や直葬などは、故人生前の意志や家族の意向で行うことが多く、親族や友人、知人などの理解を必要としてます。
そのため事前に決めておく人も少なくありませんが、最近は、生前予約ができる業者も奈良県内には多くなっているようです。
奈良県の葬儀の風習として行われているのが、10件程の家がまとまり、通夜・葬儀などを手伝う垣内と呼ばれるものがあります。隣組という言葉は良く耳にしますが、意味合いは同じです。垣内は、遺族に代わり参列者の接待や受け付けをするなど、心と身体が疲れている遺族を支えてくれます。
また、奈良県では2つの位牌を用意することがあります。まず一つは通常のお葬式でも使われる白木の位牌です。もう一つは、昔、土葬があった時代に墓に置くための位牌です。それぞれ内位牌、野位牌と呼びます。また、少し変わった風習として、出棺の際に遺族が故人の茶碗を割る茶碗割りの儀式が行われています。
これは、故人が愛用していた物を壊すことにより、この世への未練を絶ち、あの世へいけるようにとの願いが込められています。この様に奈良県は、今でも昔からの風習を大切に守り続けているという特徴があります。